失踪した王女殿下

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 「あなたがリンデンバーグでどのような扱いを受けていたか、陛下は全て分かっていました。リンデンバーグを攻め滅ぼさなかったのもあなたの存在があったからです……そこへベルンシュタット辺境伯があなたを妻にと提案してきたので、これであなたの身柄をボルアネアに来させる事が出来ると……」  私はレナルドの説明を聞いてもいまいち理解出来なかった。国王はなぜ私にそこまでの事をなさるの?同じ王族とは言え、全くの他人なのに…………  「ちょっ、ちょっと待ってレナルド…………なぜ陛下はそこまで……」  「……………………やはりあなたは何もご存じないのですね…………リンデンバーグ王め………………最初から順に話します。まず奥様の出自から……あなたのお母上、ベラトリクス様は陛下の妹君です……」  「?!う、嘘よ…………だってお母様は身分が低いと……周りの人間も皆言っていたわ………………」  「それはあなたにお母上の出自がバレないようにする為の嘘でしょう。ベラトリクス様もずっと監視されていたでしょうし、あなたに伝える事が出来なかったのでしょうね……陛下とは年が8歳ほど離れていましたが、陛下はベラトリクス様をとても可愛がっておられて…………ベラトリクス様が19歳の時に王宮騎士を護衛に連れて遠乗りをしに行った事があって……その時に襲われ、攫われてしまってから生き別れてしまったのです……」
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