失踪した王女殿下

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「はい、仲間内でそう話していたのが聞こえましたから。奥様が眠っている内にもうリンデンバーグの城下に入っています……奥様を背負ってここから連れ出す事が出来ず、すみません…………」  「いいのよ、ぐっすり眠っている私を担いで逃げるなんて、物凄い腕力がなければ出来ないわ。レナルドがここにいてくれるだけで心強いもの……それに私のこの服装では、今逃げても足手まといになるだけね。私を攫ったという事は、私に利用価値があるという事なんだと思う……ひとまずお父様に会おうと思う」    「わかりました、私はこの者たちの仲間になりすまし、城内に潜伏いたします……状況を陛下やベルンシュタット辺境伯にもお知らせしなくては」    テオ様………………きっと心配しているわね……    やがて荷馬車では眠っていた誘拐犯が次々と起きそうな気配を感じたので、リンデンバーグの王城まで私はまた布にくるまれた状態に戻る事にした。そして突然荷馬車が止まったかと思うと、誘拐犯の一人に担ぎ上げられ、かつての自室に放り投げられた。  
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