本棚に入れたままだった日記

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 本棚にふと目線を上げると、懐かしい本の中にお母様が残した日記があった。この日記はお母様が亡くなった時に遺品として私がこっそり自室に隠し持っていた物で、10歳の私には勇気が出なくて読む事が出来ないでいた物だ。  ベルンシュタットに嫁ぐ時もここでの全てを捨てて嫁ぐ気持ちだったから、持って行かなかった。  でもレナルドからお母様の話を聞いて……テオ様に沢山の愛をもらったから、これを読む勇気が湧いてきたのでページをめくってみる事にした。両手は縛られたままだけど、手先は動く…………なんとか一枚一枚開いていく。    ――――ここに連れ去られて2年経ち、私は自分を連れ去った男の子供を身籠った。その子は無事に生まれ、名前はロザリアと名付ける。
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