本棚に入れたままだった日記

6/7
前へ
/281ページ
次へ
 ここに運ばれてきたのは朝方だったはずだから、お母様の日記を読んで眠ってしまったのね…………日記は絶対ボルアネアに持って行きたい。どうにかして持って帰れないかを考えて、ドレスのウェスト部分の中に潜ませてみた。    あまり厚さのある日記ではなかったので、そこまで膨らみは……ない、と思う。ちょっとお腹が苦しくなるだけで、すっぽりと中に収まっているので、このまま持って帰れたら――  そんな事をしていると、突然扉が開かれて兵が入ってくる。私の腕を引き「国王陛下がお待ちだ」と連れて行かれた。  多分玉座の間にいるのでしょうね……ボルアネアに制圧されて、民が苦しい生活を強いられていても自身の王座にしがみついているのだなというのは、容易に想像出来る。  ボルアネアに制圧されたリンデンバーグは、他国からも国交を断絶されたりしていて、国は貧困にあえいでいると聞いていた。お父様やその他の王族たちが質素に暮らしているとは思えないし、この国に住む民は苦しい思いをしているのでしょう……かつては城にもある程度の兵はいたのに今は、ちらほらと配置されているのみ。
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1492人が本棚に入れています
本棚に追加