玉座の間

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 「リンデンバーグはボルアネアに敗れ、要求を飲まないわけにはいかなかったのだ。好きで差し出したのではない……」  「あちらから連れて来たボルアネアの王女の子供である私は、政治の道具として使い勝手が良いんですものね」  「無礼な…………口を慎め!」  王妃殿下は激昂し、私を怒鳴りつける。でももう幼い子供ではないから、萎縮したりはしないわ。私は私を大事に想ってくれる人達がいる、その事が何よりも私に勇気を与えてくれていた。  「……お母様は最後まで、ボルアネアに帰りたいと日記に書いていました。そうさせまいとしていたのは、お父様ではないですか……私が政治の道具として必要になったから、今度もまたボルアネアから連れて来たというわけですね?私を条件にまたボルアネアを脅す気ですか?政治の主導権をとりもどそうと……?」  「…………………………」  「そんな事で国が再建出来る状態ではない事が、お分かりになりませんか?」  
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