玉座の間

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 「陛下!陛下は甘いですわ。ロザリアが役に立たないから我らはこんな目に遭っているというのに」  王妃の金切り声が玉座の間に響き渡る。そして第1王子が根も葉もない事実を突きつけてきた。  「衛兵!この女を地下牢にでも入れておけ。ボルアネアには通達しておいたから、じきに向こうから交渉の為の連絡が来るだろう。あちらにはお前が我が国に戻って来たいと言うから手を貸したと言ってある」    「な、にを…………」  私が自らここに来たと?  ううん、そんな事を誰も信じるわけないわ。それにレナルドがどこかに潜んでいるはずよ。きっと私の事をテオ様や陛下に知らせてくれているはず…………絶対に信じて待つのよ。  私はどうしてお母様が私の事を空気のように扱っていたのか、その理由が聞きたかったのだ。それも先ほど王妃殿下がご丁寧に教えてくれた……――――私がいるから生きられると書いていたお母様、いつも遠くを見ていたお母様。  私は悔しくて、悔しくて、お母様の魂と一緒にボルアネアに帰るまで、こんなところで朽ちるわけにはいかないと心に誓った。
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