玉座の間

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 かつての私は生きる事に全く執着していなかったのに……いつ死んでも良かった。でも今はこんなにも死にたくないと思っている。それもこれも全てテオ様やベルンシュタットの皆のおかげだわ。  絶対にあのお方に会わずに朽ちたくない。お母様、私に力を――  「さあ、行くぞ」    両手を拘束されたまま兵に腕を引っ張られる。玉座の間から出て、壁伝いに歩いて行くと、地下牢への入口が見えた。    古い片開きの扉を開けると、地下に行く階段が続いている……薄暗くて狭い階段には何人かの兵が配置されていて、地下に着くと、そのまま地下牢の一室に入れられてしまったのだった。  
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