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この人にも生活があるのに私を見逃してくれるのね。こんな仕事、本当はやりたくないって言っていたし……私は自分のドレスの装飾に使われている宝石類や手首の宝飾品を取り、この牢番に渡す。
「…………見逃してくれてありがとう。こんなものしか渡す事が出来ないけど、お礼だと思って受け取ってほしいの。家族と共に他国に移ってもいいし、生活の足しにしてくれてもいいし……」
「あ、いや……こんなの受け取れねぇよ…………」
「いいの、受け取ってほしい。お水も飲ませてもらったし、助けられてばかりだから……あなたの名前は?」
「…………ヴィーゴだ。お姫さん、あんた、幸せになんなよ」
ヴィーゴははにかんだ顔でそう言ってくれた。私はリンデンバーグに連れて来られて、初めて胸が温かくなった――――いい人も沢山いるわ。
「ありがとう、ヴィーゴも元気で…………」
「奥様、行きましょう」
レナルドの言葉に私は頷き、私たちは先に地下牢を出る事にした。途中の地下階段ではレナルドによって気絶させられている兵たちが、ぐっすり眠っている。起こさないようにそっと階段を上って行った。
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