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私はドレスの時に履いていた少しヒールのある靴だったので、長時間歩く事は難しいかもしれない。でも……
「大丈夫よ。もし痛くなったら脱いで、布でも巻きつけて歩くわ。幸い布なら沢山あるし。生きて帰る事が一番大事だから……」
「…………奥様は逞しくなられましたね」
「そうかしら……でも生きたいと思う気持ちが力をくれているのかもしれないわね。そう思えたのも全部テオ様やレナルドたち皆のおかげだから」
私はレナルドにも感謝の気持ちを伝えた。
「……奥様を必ずボルアネアへ…………ベルンシュタット辺境伯の元へお連れ致します。命に代えましても――」
レナルドはドレスの裾を掴み、そう誓ってくれた。私には勿体ないほどの言葉をくれる……でもそれほどの気持ちを受け取らないのは失礼だから、無言で頷いて見せた。
「行きましょう!」
私は気合を入れ直して前へ進む事にした。無言でただただ歩き続け、一時間は歩いたと思う。レナルドが「少し休憩しましょう」と言ってくれたので、地面に座り込んだ――
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