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「はっ!」
テオ様が兵達に的確に指示を出し、私を下ろして先に出て行った。私はテオ様の後に続いて通路から出ると「私の後ろから離れないでくれ」とテオ様に言われる。
私は小さく頷く……いよいよね。意気込んで動こうとしたその時、うっそうと茂る草むらの向こう側から誰かが歩いてくる音が聞こえた。
テオ様やレナルドにも聞こえているようで、皆リンデンバーグの者かと警戒している…………夜だし辺りがあまりよく見えないから余計に恐い…………複数の音が聞こえるわ………………リンデンバーグにもこんなに兵が残っていたのかしら――
――ガサガサッガサッ――――
草をかき分ける音がした瞬間「そこで止まれ、リンデンバーグの者か?」とテオ様が威圧感たっぷりに声をかけた。
「閣下?!」
声を聞いてテオ様だと分かったのか、草むらから主を呼ぶ声が聞こえる…………出て来たのはベルンシュタット兵だったのだ。
「……お前たちか。前方の我が軍の者だな?という事は…………」
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