1557人が本棚に入れています
本棚に追加
「……では、行こう」
「はい」「はっ」
私も兵たちも皆、声を潜めながら返事をした。
さっきレナルドと下りて来た階段を音を立てずに上っていく……ここはもう城内なので、どこに兵がいるか分からない。慎重に動かなければ…………しかし上った先には兵はおらず、皆壁伝いにそっと移動した。途中、上に上がれる階段もあり、そこで兵も分かれる。
するとレナルドが深くフードを被り、私を連れ去った者たちと同じ恰好をしているのをいい事に「私が城門まで行って開けてもらいますよ」と言い始めた。流石にそれは危険なのでは…………と思ったのだけど、一人だけ兵士ではない恰好をしていたので、テオ様は乗り気だった。
「ふーん…………行けそうだな……」
「でしょ?怪しまれないように見た目はそのままにしていたんで。では、行ってきます」
「え、ちょっと、レナルド…………」
そう言って素早い身のこなしでリンデンバーグ兵の中に紛れていく――――――――
「大丈夫だ、あいつは軽い事ばかり言うが、やる事はプロだ。必ず遂行するだろう」
「そう……だといいのですけど…………」
最初のコメントを投稿しよう!