落城 ~テオドールSide~

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 「………………ふん……お前達は自分達の保身の為にロザリアを喜んで私に差し出したではないか。彼女は何も持たずにその身1つで我が国に来た。自分の侍女の為に命を差し出した事もある……お前たちはそんな彼女を利用した挙句、自身の欲望にまみれ今度は彼女を連れ去り、最後まで己の保身に走った。そんな人間に私の望みを叶えられる、だと?……………………笑わせるな!!」    この者たちは自分達のしてきた事がどれほど下劣で最低な事かを全く分かっていない。私が彼女を所望したというのはもちろんだが、この王族たちは喜んでそれに応じた。自分の家族を守ろうだなんて少しも思ってはいない。    ロザリーがどうなろうと知った事ではなかったのだ。彼女を差し出せば国政をその手に戻せるという条件に尻尾を振って乗ってきた。  私はそんな人間の口車に乗るほど阿呆ではない。それに――――  「私の望みを叶えられるのは、この世界で唯一人、ロザリアだけだ。お前達如きが代わりになれるなど、努々考えぬ事だ……」  「そんな小娘のどこが!私より勝っていると言うのです?!」
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