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嬉しくて涙は引っ込んだけど恥ずかし過ぎて…………私たちの仲を見て、お姉様は倒れてしまう。
それでもテオ様にばかり任せてしまって終わり、ではいけない…………私も伝えるべき事を伝えなければ。私はテオ様の腕からおりて、お父様や皆の前に出た。
「お父様、王妃殿下や皆さまも、お元気で。もう会う事はないかと思いますが、これだけは伝えたくて…………私をベルンシュタットにお嫁に出してくださって、ありがとうございました。それだけは皆に感謝しています、ベルンシュタットで私、幸せになりますね!」
そう言って頭を下げた後、ニッコリ笑った。
皆放心しているようだったけど、私の心は雲1つない晴天の空のように清々しさで溢れていた。そしてテオ様の方を振り向くと、私をまた抱き上げて優しく微笑んでくれる…………これでやっとお別れ出来たのだと、解放感でいっぱいになった。
「…………連れて行け」
「はっ!」
テオ様が兵にお父様達を連れて行くように指示を出し、皆が連行されて行く姿を見守りながら、心の中でお別れを言った…………お父様、皆、さようなら――――――
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