幸せな場所

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 「ああ、王族達は王宮に連行されている。これから我が国の法で裁かれるだろう……陛下も色々と思うところもあるだろうし、直接話したいのではないかと思う」  テオ様とヒルド様のやり取りを見て、陛下の事を考えた。大切な妹を奪われて、今までその為に尽力してきた長い年月……私の父親とは言え、お父様の事をとてもじゃないけど許せないだろうと思う。    「私も落ち着いたら陛下にお会いしに行こうと思います……伯父様、になるのですよね?」  「そうか、そうだな。そうしよう……凄く心配しておられたはずだから」  ずっとお母様と私の事を心配してくれていた優しい伯父様……もう大丈夫って伝えたい。  「じゃあ、こんなところで立ち話もなんだし、中でお茶飲みながらお話ししましょう」  「はい!」    私の幸せが詰まった場所…………ベルンシュタットは私にとってそんな場所になった。およそ約2年前に嫁ぐ為にリンデンバーグを出た時は、ここがそういう場所になるとは思ってもいなかったのだけど――――  ベルンシュタットに戻れた幸せな気持ちに浸りながら、その夜は遅くまで起きて皆と語り合ったのだった。  
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