幸せな場所

4/5

1444人が本棚に入れています
本棚に追加
/281ページ
 「私はリンデンバーグ城の侍女でしたが本当に仕事が遅くて、使えない人間でした。ベラトリクス様がいらっしゃった時、私ならどんくさいからお似合いだと……ベラトリクス様付きになったのです。でもベラトリクス様はこんな私にも本当にお優しくて、あなた様が生まれた時も私に抱かせてくれて……姉妹みたいねって――」  エリーナはお母様との事を思い出して流れてくる涙を拭い、話を続けた。  「だから私は、この命が尽きるまでお二人にお仕えするって決めていたのです。ベラトリクス様は私だけはロザリア様にずっと付いていてほしいと頼まれておりました……ここでは自分がそばにいるとロザリア様にはいい事はないからって。でもベラトリクス様のお願いがなくてもずっとお仕えする気満々でしたので!ロザリア様の為なら旦那様にだってご意見しますよ、私は!」  エリーナはそう言って自慢げに腕を組むので、エリーナならするだろうなと思って笑ってしまう。  「エリーナ、ありがとう。いつも私のそばにいてくれて、味方でいてくれて……エリーナがいなかったら私はここにいなかったわね。これからも私のそばにいてね、ずっとよ」
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1444人が本棚に入れています
本棚に追加