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うちは公爵家ではありますが、権力には特に興味もなく。
ただ日々、平々凡々とすぎていけばいいと思っているだけの貧乏公爵家ですよっ、と一家でアルベルトを見つめていると、彼はついに本題に入った。
「ユイブルグ公爵。
実はお前たちの娘、マレーヌを第一王子の妃に迎え入れようということになったのだ」
ええっ? とみなが驚く。
「何故ですかっ?
王子の妃には、もっと良家の娘がなるはずではっ?」
「資産的にはどうだか知らぬが、ユイブルグ家は公爵家であろう。
なんの不足もない」
はあ、そういえば、そうなんですが。
ふだん、庶民的な生活をしているので、そのこと、忘れがちなんですよね~とマレーヌは思う。
「あの、でも、エヴァン王子には、ユリア様という許嫁がいらっしゃいますよね?」
身を乗り出し、父がそう訊く。
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