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「まずゲームを始める前に相関図を書いてみようか」
ルーズリーフを広げ、彼がシャープペンを走らせる。
「相関図?」
「君の対人関係。この円が君、この辺りに僕かな。他にゲームをしているのは誰?」
中心へキレイ円を描き、隅に向かって矢印を引き『道永明』と記入。
道永明とは彼の名前、こんな事がなければ接点の無かった同級生である。
「えっと田中と林、それから健太郎」
続いてゲームメンバーが書き込まれた。3人は中学生時代からの仲間なので円の近くに配置されると【悪友】と説明が添えられた。
「悪友って……」
「悪だろ、君達は他人の気持ちを弄ぶ遊びをしているんだぞ? 健太郎は谷健太郎の事?」
「お? 健太郎を知ってる?」
「谷はこの間のテストで成績上位だった。はぁ、彼がこんなゲームに参加しているなんて残念でならない」
「テストといえば道永は凄いよな、いつも1位じゃん。健太郎も塾とか沢山通っているけど、お前には勝てないってグチってたぞ」
「なるほど。君に告白させたのはその仕返し?」
「どうかな? 道永って誰ともつるまないじゃん? 嫌われたりしなくない?」
「距離を取っていたって嫌われる時は嫌われるんだよ」
健太郎には道永への矢印が伸び【嫉妬】と足された。フリーハンドなのに線はちっとも歪んでいない。
着々と相関図は仕上がっていく。
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