神龍王の宝

1/9
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ

神龍王の宝

 この世界に於いてドラゴンは、神の代行者だ。  神龍王は、一部の例外はあるものの、神龍、ドラゴン、龍人などの種族の頂点に君臨する存在であり、歴代の神龍王は、全ての神龍から、その時代での適任者が選ばれてきたのだと聞いている。 「この世界には、たくさんの宝がある」  淡く虹色に煌めく光の粒をまとう白い鱗を持つ神々しいドラゴンが、俺の片親である神龍王だ。  たまごから生まれたばかりの幼龍だった俺に、角度によって色を変える瞳をまっすぐに向け、慈愛に満ちた笑顔を浮かべてそう告げたことを今でも憶えている。 「鬼王と魔王が背負う業も、その宝を受け継ぐことができるならば、変えて行けるかもしれぬ」  全体的に金色だが、金色から銀色、そして黒へとグラデーションがかかった鱗を持つ新緑色の瞳のドラゴンは、鬼王神龍と呼ばれる特殊な神龍であり、俺の片親だ。  鬼王神龍は、『鬼王』とも呼ばれていた。  『世界樹ユグドラシルの天空神殿』と呼ばれるダンジョンのダンジョンマスターであると同時に、そのダンジョンがあるタカマガハラ大陸全土を治める王でもあったからだ。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!