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この世界のドラゴンには、質のいい魔力を持ち、保有魔力量が多い相手に惹かれるという特性があるんだが、創世の時代に歴代最強と呼ばれる神龍王が存在し、その伴侶の座をめぐってドラゴン同士が熾烈な争いを繰り広げた。
それに嫌気がさした歴代最強の神龍王は、伴侶を選ぶことなくたまごに戻り、別の時代に生まれ直すことを選んだようだ。
その後、神龍王が頻繁に入れ替わり安定しない時代が続き、神龍王となったダイヤモンドドラゴンが、自らの魔力を分け与え、炎、水、風、土、雷、光、闇の七つの属性それぞれを司る属性王を生み出したのち、力を使い果たしてたまごに戻り眠りについた。
ダイヤモンドドラゴンから力を分け与えられて属性王となった神龍たちは、たまごに戻ったダイヤモンドドラゴンに毎日少しずつ魔力を分け与えながら寄り添い続け、そのたまごが還る頃、安心したように次世代の属性王たちを選んで力を継承したあと、最後の力で魔力に還り、たまごを構成していた魔力の一部となったんだけど、その深い愛情を見守り続けたドラゴンたちの意識を変えたと聞いている。
歴代最強と呼ばれた神龍王が、伴侶を選ばずにたまごに戻った理由も、属性王を生み出した神龍王のダイヤモンドドラゴンや属性王たちが望んでいたことも、世界の安定だったからだ。
このダイヤモンドドラゴンと属性王たちの次の代から、神龍王と同時に属性王も選ばれ、代替わりするまでの間に、神龍王と属性王たちの間にたまごを生み出す義務ができたようだな。
ドラゴン同士が神龍王の伴侶の座をめぐって争うことが繰り返されないように生まれた義務らしいぞ。
俺自身も代々神龍やその眷属の間に語り継がれる伝承を聞いて知った程度だ。
神龍王と七名の属性王たちそれぞれで魔力を混ぜ合わせてたまごを生み出すパターン……俺の片親の神龍王はこっち。
属性王以外の相手ともたまごを生み出して、俺を含めたくさんの子を残しているけれどな。
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