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たまごを残すためのもう一つのパターンは、初代の属性王たちがそうしたように、神龍王と属性王たち八名の魔力を混ぜ合わせた一つのたまごを生み出すことだ。
これは先代の神龍王たちが選んだ方法でもあり、その時のたまごから生まれたのが俺の片親となった神龍王。
どちらのパターンでたまごを生み出しても構わないとされているが、初代の属性王たちと、先代以外では、複数の魔力を混ぜ合わせたたまごを生み出したという話は、俺が生まれた世界では、あまり聞かなかったし、珍しいことだったんだろう。
神龍王は、属性王たちそれぞれが司る魔力属性七つを全て扱えることが最低条件とされているが、その中でも生まれながらにその七つの属性を扱える神龍は『エレメントドラゴン』と呼ばれている。
歴代最強の神龍王がいた創世の時代を生きていた神龍の中には、古代龍エンシェントドラゴンとされる種族も存在していたが、その筆頭でもあった神龍王がたまごに戻ったあの時代を生き抜いて現在も生きている古代龍エンシェントドラゴンはいなくて、歴代最強の神龍王の転生体――先代の神龍王なんだが、その神龍王でさえ、エレメントドラゴンとしての特性が強く出てしまっていたと聞く。
エレメントドラゴンも、古代龍エンシェントドラゴンも、その血を受け継ぐ者が減ってしまい隔世遺伝でしか生まれなくなっていたのに、先代の神龍王の時に……色々あったようでな。
その時の色々が影響して、ドラゴンの個体数が減少。
このままだと、ただでさえ隔世遺伝になっているエレメントドラゴンや古代龍エンシェントドラゴンの血が潰えてしまうことを懸念した俺の片親は、種族の遺伝子を後世に残すために、属性王だけでなく、それ以外の神龍や眷属のドラゴン、さらには鬼王神龍や四霊まで、賛同してくれた協力者たちとの間に、それぞれのたまごを生み出した。
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