白い墓標に弔いを

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 現在、雪だるま職人はこの国にぼく一人しかいない。 ぼくがいなくなってしまったら「雪だるま職人」も「雪だるま」もこの国から消えてしまう事になる。勿論「雪合戦」の記憶もなくなってしまうだろう。だけど教え子三人たちがぼくの後を継いでくれたら、この仕事はぼくがいなくなった後でも続いていく。雪だるま作りが上達した今ならそれは可能だ。  「三人とも、もしよかったら」ふと声をかけて言い淀む。 ハントたちが雪だるま職人をやりたいかどうか問われると、わからない。三人とも将来やりたい事はある筈だ。仮にないとしてもだからといって強引に雪だるま職人を継がせるのは、教え子たちの意志を無視したやりかただ。決めた筈だ。ぼくは三人の意志を最後まで尊重すると。  「先生? どうしたんですか?」  「もしよかったら、この国に雪だるま職人っていう仕事をしてる人がいるって事を広く知らせて貰えないかな?」  「宣伝をして欲しいって事ですか? 先生もしかして仕事の後継者に悩んでるんじゃないんですか?」  「実は、そうなんだ。どうしてわかったんだ」  「バレバレですよ。きっと俺たちの将来の事を考えてくれての事でしょうけど、宣伝ならお安いご用ですよ。なあエリー、クレイ!」  「先生の力になれるなら、私たち何でもやります」  「そうなると、先生の仕事に興味を持ってくれそうな取り組みも必要になります。一日に何人教えるかも考えていかないといけませんし、スケジュールも組まないといけないです」  三人とも頼もしい事を言ってくれる。
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