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02.自分を偽ってる気がする
拓真がそうたずねると、陽菜は深刻な表情に変わる。
「なにもかもうんざりなの。授業も将来も、クラスの連中にもね」
「ふうん。うんざりってどんなふうに?」
拓真の質問に、陽菜は少し考えるように体育館裏の壁を見つめた。
「なんだかさ、まわりがみんなごっこ遊びしているみたいな感じでさ。それにうんざりしたの。そう、中学生なんてみんなごっこ遊び。
私は賢い女子生徒役を演じてるだけよ。面白い生徒は面白い奴のキャラを担っているし、暗い奴は暗い奴のキャラを演じてる。
そのキャラから外れたことをやると、みんな白けてさ。そんなのお前のキャラじゃないって。
それで私はみんなから優等生だって思われてるでしょ。だから、真面目で勉強のできる中学生のフリをしてるけど、自分では自分を偽ってる気がするの。けど、そんな自分に疲れたっていうか……」
真剣な顔で真剣に語る陽菜。
「なるほどな。優等生も大変だな」
拓真はタバコを指に挟んだままそう告げる。火の点いていない、煙も出てないタバコ。そんなタバコをふかして口を開く拓真。
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