井の中の蛙、雪国へ行く

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「大丈夫、除雪車の音だよ。シャンシャンっていうのは、除雪車のタイヤにつけられているチェーンの音。この時期はほぼ毎朝来るの。あとで僕たちも雪かきの手伝いをするからね。それまでもうちょっと寝ようよ」  そ、そうなんだ? ……あれ? でも除雪車はをしに来たんだよね? どうして雪かきをする必要があるんだろう?  その答えは外がすっかり明るくなった六時過ぎに判明した。除雪車が通り過ぎた後は、雪を掬ったり、押し退けたりするバケットから溢れた雪が道路の両端に置き去りになる。これが結構な量で、それを片付けないと車も人も道路へスムーズに出られないのだ。  おじちゃんとカンちゃん、そのお兄ちゃんである高校生のキンちゃん、僕と、男手総出で雪かきをする。雪は昨日から確実に40cmは積もっていて、慣れない僕は歩くのもやっとだ。プラスチック製のスコップで雪かきするんだけれど、これが思っていたよりも結構重たい。カンちゃんに聞いたら空気中の湿度が高いせいなんだって。それで降って来る雪同士も湿って、くっついて大きくなるみたい。だからチキンナゲットみたいなんだぁ。
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