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目に見える明らかな違いがショックだった。それが悔しくて、負けるもんか! と躍起になって雪を掘る。ところが、スコップですくったはずの雪は、僕の意思に反して半分近くがボロボロと零れ落ちてしまう。
カンちゃんの動きを盗み見ると、スコップの先を左右と向こう側へ差して、まずは四角い輪郭をとる。それから底にスコップを入れると、雪は大きな豆腐みたいな形できれいにすくえるのだ。
なるほど! と早速真似してみるけど、大きくて柄の長いスコップは思うように動かせない。カンちゃんと比べると、無駄の多い動きをしているのが自分でも分かる。僕、全然お手伝いになっていない……というか、むしろ戦力外。完全に足でまといだ。これってつまり……。
「役立たず……!」
自分の冷静な分析結果に自分でショックを受ける。にわかに鼻の奥がツンとしたのは寒さのせいじゃない。僕は急に泣きたくなって、「トイレ行ってくる!」と嘘をついて家の中へ入った。
トイレに入って一人になると、胸の奥はさっきよりもずっとザワザワしている。鎮まれ! ときつく目を瞑ると、真っ暗な中にポッとクラスメイトの長沼君が現れた。学習発表の班活動時、あまりにもトロくて、僕がイライラした子だ。
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