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帰り道、さっきの人が知っている人だったのか尋ねると、おじちゃんは「まさか」と笑った。
「ここみだいな雪国ではよ、知らね人同士でもみんなで助け合わねど。なんも特別な事では無ぇ。俺も助けでもらった事あるし」
「でも、さっきの人、改めてお礼をしたそうだったよ」
そういう僕におばあちゃんが優しく微笑んだ。
「どんなに強い人でも、一人では生きて行げないもの。困った時はお互い様。さっきのあんちゃんがどこかで同じように困ってだ人を見かけだら助けであげる。それでいいの」
「そっか……そうだね」
曇った窓を拭うと、外は相変わらずの大雪。凍えるような風景だけれど、僕の心はなぜか春みたいにぽかぽかだった。
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