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翌朝。
せっかくの休みだというのにパパに起こされた。時計を見たら、まだ六時半。学校へ行く日だってこんなに早くは起きないのに……一体なんで?
ふてくされて尋ねると、パパは腰に手を当てて意気揚々と宣言した。
「陽翔は今日から山形のおばあちゃんちへ行ってもらいます!」
……はぁ?
「なんで? 夏ならまだしも、冬の山形なんて嫌だよ。寒いし、雪は降るし……」
夏は夏でメチャクチャ暑かったけど。
「だから行くんだよ。おばあちゃんも会えるのを楽しみにしてるって」
そう言われて頭の中にぽわんとおばあちゃんの顔が浮かんだ。夏休みに遊びに行って、帰りに駅のホームで最後に見た時の顔。おばあちゃんは皺だらけの顔をいっそう皺だらけにして、ニコニコしながら手を振り、泣いてた。僕と別れるのが寂しい、って。また遊びにごんざいって。あの時はなぜだか胸のところがチクチク、ソワソワしたっけ……。おばあちゃんは優しいから大好き。僕はなんだか急に会いたくなってきた。
「うん……まぁ、お年玉ももらえるだろうし、行ってもい……」
「よしっ、では行こう!!」
パパはかぶせ気味にそう言って、僕の了解をママに報告しに行った。
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