26人が本棚に入れています
本棚に追加
パパとママと三人で東京駅から新幹線に乗る。密集したビルや住宅の風景がだんだんと変わってきて、福島駅を過ぎると一気に山になった。当たり前だけど雪が多い。山形に着くともう真っ白だった。
駅からおばあちゃんの家まではタクシーで向かう。時々、ガッタン! って車が跳ねるので、驚いて声を上げたら運転手さんに笑われた。道路でもマンホールのふたには雪が積もらないから、そこだけ凹んだままで段差が出来るせいなんだって。マンホールの下には家庭から出たあたたかい排水が流れているせいだ。そっか、ふたは金属製だしね。
雪で狭くなっている道路を進み、おばあちゃんの家に到着。タクシーから降りると、冷え切った空気がサアッと肺の中に入ってきて、背筋がぶるっと震えた。冷たい空気はなんとなく甘い味がする。
「うーい! あぶねぇぞー!」
家に入ろうとした矢先、上からドサッと雪の塊が落ちてきたので、僕は声を上げる間もなくのけ反った。見れば、屋根の上にはおじちゃんと従兄のカンちゃんたちが信じられないくらいの軽装でスコップを手に立っている。例えばおじちゃんは、トレーナー、ジーンズ、薄手のウィンドブレーカーにキャップ帽、手袋だけだ。どう見ても寒そうだけど……。僕なんかダウンジャケットにマフラー、ニット帽、手袋、それに貼るカイロまで仕込んでいるのに……。
最初のコメントを投稿しよう!