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「おばあちゃん! 来たよ!」
おじゃまします、も言わずに玄関を上がり、右手奥の引き戸を開けると、思ったとおりおばあちゃんが台所に立っていた。柄の入ったかっぽう着姿で、僕の顔を見るなりパアッと表情を輝かせる。
「あらあら、陽翔君!? なんだごど、ちょっと会わね内にまた大きくなったんでないの!? ばあちゃん、たまげだは~!」
そう言って駆け寄った僕の頭や頬を宝物みたいに撫でる。芋煮を作っていたおばあちゃんの手は、あったかくて、シワシワで、ちょっぴり長ネギの匂いがした。その後、みんなで食べたお昼はもちろん芋煮で、僕がお代わりしたのは言うまでもない。
昼食後、みんなでテレビを観ていると、ママがおもむろに「じゃあ陽翔、パパとママは夕方の新幹線で東京へ帰るからね」と爆弾発言をした。
「はあ!? どういうこと?」
頭の中が真っ白になる。確かに何泊するとか、いつ帰るとか具体的なことは聞いていなかったけれど……。なぜ僕だけを山形に残していくわけ? 意味が分からない。
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