愛し子へ

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『むずむずする』  考えてみればその声が言うと、数ヶ月後、数週間後、数日後、いつかはわからない。どこかで大きな地震が起きていた。  次の日や、言ったその日に、すぐに起こるわけでは無い。それでも必ず起こる。  気のせいなのかもしれない。  なんの関連も無いのかもしれない。  それでも、もしかして、と思ってしまう。  熱いと言っているのは、地球温暖化のこと。  それとも、最近世界中で大規模な火災が起こっていることかもしれない。  あり得ないことだと思う。  突拍子も無いことだと思う。  だけど、そう思ってしまった。  私には、地球の声が聞こえている。  もちろん、思い当たったところで誰にも言えない。  私に伝えたって、どうすることも出来ない。  地球の声が聞こえていると言って、誰が信じてくれるのだろう。  もちろん、両親にも言えない。子どもの頃のように気味悪がられるだけだ。  他の誰かに言っても、そういうことを妄想しているおかしな人間だと思われるだけだ。  声が何かを言ってから起こるまでに時間が掛かるのは、もしかすると地球が大きいからかもしれない。人間よりもずっと長生きだからかもしれない。なにしろ人間とはスケールが違う。  時間の感覚がズレていて、私にとってすぐに起こるくらいの感覚で数ヶ月後のことを言っている可能性がある。  だとしたら信じてもらったところで、いつ起こるのかわからないものをどう説明すればいいと言うのだろう。  大体、起こる場所すらわからない。  大雑把に言われても、そこのどこか、そこがどこかわからない。
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