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目を開けると、俺は病院のベッドに横たわっていた。
体に伝わるシーツの感触は、俺に『自分は洞窟から無事に出られた』という事実を教えてくれる。
「俺は確か、メフィスの動きを鈍らせて、それからは……」
俺が徐ろに起き上がろうとすると、布団から雪のような白い腕がのび、俺を布団の中へと引きずり込んだ。
「うわ!? な、何だ」
「お目覚めかぇ、和道よ」
背筋が寒くなる。なんでいるはずのないお前がここにいるんだよ。
というより、なぜ俺のベッドに潜り込んでいる。
俺は布団から手をのばし、枕元にあるスマホを取ろうとする。けれどその前に、その手を恋人繋ぎで繋がれてすぐさまベッドの中へと戻される。
「なぜお前がここにいる? なぜお前が俺と同じベッドで寝ている? というか、寝ている俺に何かしてないだろうな?」
「落ち着けい。取りあえずお主。あの時のこと、覚えておるか?」
「はっ!? そうだ。奴にブチ込まなければ。奴はまだ生きている!」
言われて俺は気づいた。メフィスにトドメを刺していない。俺はすぐにあの洞窟に向かおうと、ベッドから即座に起き上がろうとした。
そんな俺を少女はベッドに押さえつけ、出られないようにした。
「何をする!? メフィスはまだ生きている。今度こそトドメを刺さなければ、また」
「うるさいのぅ。そんなやかましい口はこうじゃ!」
「むぐぐぅ~」
なおも抵抗を続ける俺に業を煮やしたのか、少女は俺にキスをしてきた。冷たくて気持ちいい感触と犯罪の香りに、段々と思考を奪われていく。
少女の体は心なしか、ひやっこかった。
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