和服の銃少女には御用心を

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「どうした? どこを撃っている?」  ドゴォッ!  腹部に蹴りがはいり、俺は洞窟の壁に激突する。  たったこれだけで、吐血して意識が朦朧とする。  暗魔の上位個体の身体能力はやはり、桁違いだ。これを食らっても、メフィスを羽交い締めした智人は相応、体を酷使したに違いない。 「つまらぬ。やはり人間は脆いな。だからこそ、このような無駄知恵を働きがるのか」  ガスッ!  ゴスッ!  バキッ!  床に横たわる俺を、メフィスは足蹴にした。奴は俺をすぐに殺さず、いたぶって気分を晴らしてから殺そうとしていた。  蹴られる度に口の中から鉄の味のするナニかが込み上げ、吐いていく。  そして体中に衝撃が走っては、また意識が薄れかかろうとしていた。 「そのズボン。そうか。通りで見たことがあると思えば、奴がはいていたものか。このポケットを(あなど)っていたから、我は奴の接近を許してしまったからな」  メフィスは俺のズボンに手を入れ、何も入っていないことを確認した。  憎たらしいが奴も同様、学ぶところは学んでいた。 「さて、終わりにしてやる」  俺のポケットに何も入っていないことを確信したメフィスは、俺にトドメを刺そうと拳を振り下ろした。  目をつぶり焦りと諦めが心の中を駆け巡らせていると、メフィスは目を大きく見開き、体を硬直させた。 「き、貴様。何を、した!?」 「ふぅ……ふぅ。後ろを……見てみるんだな」  俺とメフィスの後ろ。  そこでは先ほど仕掛けた複数の缶から、モクモクと煙を出していた。
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