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「大丈夫。私もそうだから」と凛はいった。「私だって、寂しくなる時はしょっちゅうある。ここにいるお人形も、きっとみんな、みんな寂しいから。だから、寂しくないよ」
女の子は涙を拭うことなく、ただ静かに頷いた。
「でもね」女の子は口を開いた。「お父さんがいるときは、寂しくなかった」
「お父さん?」
「お父さんがいなくなっちゃった。お父さんがいなくなっちゃってから、わたしはずっと、ずっと寂しい」
そういえばこの子に初めて会った時もお父さんのこといってたな、と凛は思い出した。
「お父さんがいなくなってからなの。それからわたしも、ここにいるお人形も、みんな寂しくなっちゃった」
「そっか」かける言葉が見つからない。お父さんは死んでしまったのだろうか。もしくは、離れたところに住んでいるのか。「お父さんは、どんな人?」
「あったかかった。お人形の名前も全部覚えてたし、わたしのこと、いつも見ててくれた」
「いいお父さんなんだね」凛はいった。
女の子は頷いた。そして、「お父さんのお部屋にいく?」
「お父さんの? 入っていいの?」
「うん」と女の子は涙を拭いて、凛の手を引き部屋を出た。
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