4 凛、お父さんになる

3/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「エリーみたいに?」 「そう、エリーみたいに。ケイティやジンジャーやエイミー、かわいそうなピザみたいに、ぼくはりおのすぐそばにいて、りおを見つめてる。りおが寂しい日も、楽しい日も、部屋にいる時も公園にいる時も、お母さんとダイナーにいる時も、どんな時だって僕はそばにいるんだ」 「でも、エリーもメアリーもエラも、みんな死んじゃった」 「だからどうだっていうんだ?」凛――りおの父親――はおどけたような表情を浮かべてみせた。 「だって、だって……死んじゃったら寂しい」 「たしかに、寂しい。手をつないで歩くこともできないし、りおが怖い夢を見た時、一緒に横で眠ることもできない」  りおは黙った。また、大人のような顔に戻ってしまいそうだった。 「でもね、りお」と凛はりおの背の高さに合わせて屈み、りおの目を優しく覗いた。「心が離れてしまうことはないんだよ。お父さんはいつも、りおのすぐそばにいる」 「本当?」 「そうさ」と、りおを強く抱きしめた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!