2 おめめ

5/7
前へ
/29ページ
次へ
 ケイティは原色の派手なワンピースを着ていた。六十年代のヒッピーみたいな少女。首から、ピースマークのネックレスを下げている。たしかに女の子のいう通り、凛の目にもケイティがちょっぴり寂しそうに見えるから不思議だ。 「ケイティの好きなものはなに?」 「ロックのレコード」女の子はいった。  レコードなんて、こんな年齢の子が知ってるのかな。母親の影響だろうか。 「寂しくないように、音楽を聴かせてあげればいいんじゃない?」 「うちにレコード、ない」 「わたしのスマホでもいいよ」 「音楽かけてくれるの?」 「簡単だよ」と凛はスマホを操作し、それっぽいロックの音楽を流してみた。曲が終わったら、早くこの部屋から出よう。「喜んでるかな?」 「ちっとも喜んでない」と女の子。「そんなの、ロックじゃないって」  あ、そう、と凛は音楽を消した。 「この子はエイミー」女の子は黒ずくめの人形を手に取った。「魔術が得意」 「へえ、魔女なんだ」 「そう。魔女狩りで、火あぶりにされて死んじゃったの」 「死んじゃったの?」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加