恋そっちのけな恋ヶ窪くんと運命の恋がしたい

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 「お待たせしました〜!それでは我が雪代高校ミスコングランプリの発表をします!!」  その瞬間、体育館に猛々しい雄叫びがあがった。文化祭フィナーレ、全校生徒の熱気は最骨頂に達している。司会を担当している放送部部長が、鼻の穴を大きくさせ息を吸い込んだ。 「栄冠に輝いたのは......2年C組!峰岸(みねぎし)ニアさんですっっっっ!!!!」 わぁぁぁぁぁぁーー!!! 鳴り止まぬ歓声の中次々に興奮の声が上がる。 「ニアちゃぁぁぁぁん!!」 「さすが今話題の“新世代JK”!!」 「イムスタもティックティックも投稿すれば即バズるしな〜てかこの前雑誌載ってたよ?!」 「見た見た!ドキッとした!」 「最近変えた髪色もいいよね!少し明るめなブラウンアッシュ!カールの仕方も天才的!」 「あんな超絶美女が彼女だったら最高だよなぁ」 「芸能人じゃないと釣り合わねーだろ」 更に勢いをつけるように部長がマイクを握りしめる。 「さぁ!それではインタビューに移りたいと思いますっ!峰岸ニアさん!壇上に上がってきてくださいっっ!!」 うぉぉぉぉぉぉぉーー!! 生徒達の熱狂が加速するーー ーーーところが。 「あれ?峰岸さん?!え?」 さっきまでの騒々しさがいきなり消えた。 生徒達が間をあけた円の中央で、顔を両手で押さえながら俯いて立ち尽くすのは。 そんな彼女の肩を支えてため息をついた親友が口を開いた。 「あーニアは今絶望中なのでお構いなく。」 「えっ?!絶望?!たった今頂点を取ったのに?!!」 「この子今それどころじゃないんで。」 「えっ?!でもインタビューを......」 壇上から降りてきた部長は狼狽えながらも諦めきれず続ける。 「何か一言でもいいのでコメントいただけませんか?峰岸ニアさん......」 するとその瞬間、 ニアは差し出されたマイクをぶん取って力一杯叫んだ。 「恋人募集!!SNS私の前で限定ーーー!!!!」 うぉぉぉぉぉぉぉーーー!!! その言葉は全校生徒を鼓舞させ、文化祭は幕を閉じたのだったーー。
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