赤い手袋

4/7
前へ
/7ページ
次へ
「さわちゃん、あきちゃん、マサトくん、かまくら出来たし、ちょっとウチでオヤツたべない?」 さくらちゃんが声をかけてくれた。さっきスコップを取りに行った時にお母さんから言われていたらしい。そろそろ冷えてきたし、ありがたくお邪魔する事になる。 同じ団地なのに、さくらちゃんのおうちはなんだかスイートだ。リビングダイニングには若草色のカーペットが敷かれ、椅子とテーブルはアイボリーがかった白。椅子にはお手製の小花柄のキルトが敷かれている。 さくらちゃんママは遊びに行くと手作りのお菓子を振る舞ってくれる。 ダイニングテーブルの真ん中に置かれた籠にはクッキーが乗せられていた。イチゴ柄のペーパーを敷いた上に、クッキーが並べられるている。 4人が椅子に座ると、ホットミルクが配られる。 「今オヤツ作るから、ちょっと待っていてね。」 クッキーだけでも嬉しいのに。さくらちゃんママ最高。 5年生のさくらちゃんとあきちゃん、4年生のマサトと、さわ。4人は同じ棟に住んでいる。マサトとさわは隣同士だ。クラスは全員違うので、このメンバーが揃うのはちょっと珍しい。 特にマサトは初めて来たのでキョロキョロしている。 「マサトくん、雪かためるの上手かったね。」 あきちゃんはかまくら(っぽいもの)が出来たのが嬉しかったらしく、にこにこしている。 「へへ。なんか出来ちゃった。」 素直に認めるマサト。変に謙遜しないところがいいところだ。 そうこうしているうちに、さくらちゃんママが大きなトレイに何かを乗せて来た。 パンケーキ!ホットケーキじゃなくて、コレは お店で食べるみたいにふわふわで生クリームとイチゴが添えられた、美味しそうなヤツだ。 4人は幸せな気持ちでパクパク食べるのだった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加