赤い手袋

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「さわ、雪降ってきた。」 「雪?」 自転車のカゴに通学カバンを放り込んだところだった私はマサトの声に振り返り。確かに昼過ぎからどんよりした雲が空を埋め尽くして、空気がしんとしていたのだ。見上げると、ふわふわした雪が落ちてきていた。 マサトと私は同じ高校に通っている。同じ団地に住んでいる同い年で、幼馴染みだ。通っているのは隣の町にある県立高校で、交通手段としてはまるでこの学校のために作られたような「ガイドウェーバス」というタイプの鉄道のようなものがあるのだが、家からも学校からも最寄駅が微妙な場所にあり、自転車通学にしてしまった方が早い。ターミナル駅を利用する生徒達はもれなくその鉄道を利用している。 「明日の朝も降ってたらアレ止まるよな。」 そう、新交通システムのガイドウェーバスとやらは雪に弱い。
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