ホワイトアウト

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 「江口?おい、江口…」  「…え?」  「お前、大丈夫かよ…」  「え?あぁ、すみません…何か言いました?」  加藤部長は、手入れのされていないゲジ眉を下げて「だから〜お前さ、児玉と付き合ってたんだな?って」と呆れた様に言った。  「え?」  「児玉、心配性なのな!」  「ちょ、ちょっと待ってください…え?なんて?」  俺は、部長のあまりに突拍子もない質問に混乱した。何故そんな勘違いをされているのか理解出来ず「俺が?児玉と付き合っているって?」と、質問を返す。  「そんな、とぼけるなって…今回の救助要請だって児玉がしたんだぞ?浮気防止アプリ入れられてるんだろ?束縛はキツイよなー…何、お前、あのデカい尻に敷かれてんの?」  加藤部長は無邪気な笑顔を見せた。  「浮気…防止アプリ?」  頭の中が真っ白になった。  俺は、床頭台に置かれたスマホに目をやった。画面バキバキな上に、昨夜のうちにバッテリーは切れていた。確認することは出来ない。  「GPSのアレだろ?迎えに行かないとって言ったら、ここの病院だって児玉が教えてくれたんだ…」  加藤部長は、喋っている途中でピクッと反応したかと思うと、お尻のポケットからスマホを取りだした。  ブブブ…ブブブ…  「お、噂をすればだ…」と、加藤部長はニヤリと笑い「もしもし?」と電話に出た。  俺は今までの児玉との関わりを思い出す。    ───嘘だろ!?  悪寒が走り、全身が粟だった。
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