全校集会

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「それにしても、今日の蓮は凄かったな」 「あんなに堂々と『俺の女』発言してよかったの?」 今は、昼休み。 先程から小雨が降りだしたので、図書館でご飯を食べている。 広志と大輔が、揶揄うように笑いながら蓮に投げかけたのだ。 「いいよ」 「副会長は陽向が好きなんですか? 会長は妬かないんですか?」 「ちょっと、望!」 「好きだよ」 蓮の柔らかい笑みと優しい言葉に、陽向の胸が甘く痺れた。 初めての感覚に、何が起こったのか理解できない。 「もちろん大切な仲間としてだけどね」 「蓮相手に妬かねぇよ」 「ふーん……もう1つ聞いていいですか?」 「どうぞ」 「どうして集会で、あんなこと言ったんですか?」 興味津々と蓮を見ている望に、蓮は小さく微笑んでから立ち上がった。 「晃、特別室の鍵貸して。俺寝るから、午後全部サボる」 呆れたように息を吐き出す晃から鍵を受け取り、蓮は立ち去ろうとしたが、突如聞こえてきた声に僅かに足を止めた。 「蓮様と愉快な仲間たち、見つけましたわ」 「由紀菜ちゃんは、相変わらず酷いね」 大輔が苦笑いしているが、由紀菜と呼ばれた少女は顔色一つ変えない。 「蓮様以外は、石ころにしか見えませんの。蓮様、少しよろしいですか?」 由紀菜の呼び掛けに、視線だけを送った蓮はすでに階段を上がりはじめている。 「答えは『生徒会』です」 蓮の姿が見えなくなるまで首を垂れていた由紀菜が面をあげると、今度は陽向に向かって頭を下げた。 「申し遅れて失礼いたしました。私、蓮様ファンクラブ会長の滝由紀菜(たきゆきな)と申します。以後、お見知りおきをお願いいたします」 「ちょ、あ、頭を上げてください」 「いえ、本日はファンクラブ会員たちを抑制できず、申し訳ございませんでした。私の力不足です。陽向様に暴言を吐いた者は、必ずや見つけ出し摂関いたします」 「陽向様だなんて! 呼び捨てで、いいですから」 「あなたはファンクラブ会長なのに、陽向が憎いと思わないんですか? 真奈美が、鋭い目で由紀菜を見ている。 「あー、真奈美ちゃん、それはないよ」 「由紀菜ちゃんと蓮は、約束を取り決めてるから」 「約束ですか?」 広志と大輔の言葉に真奈美は首を傾げていて、それは陽向・美樹・望も同じ気持ちだった。 一方、由紀菜は、嬉しそうに頬を染め手を添えている。
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