全校集会

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「何だろな? 蓮は、何を調べさせたんだ?」 「さぁね。蓮に聞いても、教えてくれないだろうしね」 「調べさせたって、何ですか?」 広志と大輔の会話に飛びついたのは望だ。 「そっか。知らないよな」と広志が説明をしてくれた。 「由紀菜ちゃんは、探偵かっていうぐらい調べたりするのが上手いんだよ」 「そんなことは早く教えて下さいよ!」 突然望が大きな声で立ち上がったから、全員が肩を上げるほど驚いている。 といっても、晃だけは少し眉間に皺を寄せたくらいだった。 「どうしたのよ?」 真奈美が声をかけると、望は勢いよく真奈美を見た。 「調べるのが上手ってことは、情報通ってことよ! しかも、副会長のお墨付き。師弟関係、結べばよかったー」 「またそのうち現れるんじゃねぇ。とりあえず、座ったら?」 「いいえ。今度、いつ会えるか分からないですから、今追いかけて師弟関係結びます!」 「ちょっと! 望ちゃん!」 勢いよく出て行った望を、慌てた様子の広志が追いかけていった。 残された陽向たちは、苦笑いを浮かべている。 「目の色変えちゃって。もうこんな時間か。そろそろ戻ろっか?」 「あいつら、時間忘れて飛び出したんだな。バカだ……はぁ」 晃の言葉に、みんな無言で頷いた。 荷物を置いていった3人、蓮・広志・望の分も教室に持って帰るため片付ける。 「梨本先輩はよく授業サボられているみたいですが、出席日数や試験は、どうやってクリアしているのですか?」 美樹の質問に、陽向は「そういえばそうだよね」と数回頷いている。 蓮がサボることが当たり前の大輔には、浮かばない疑問だった。 晃は「ああ、それは」と答えてくれた。 「高校入る時に、学年主任と校長に『試験で必ず3位以内に入るから』って、サボる許可を貰ってたな。『許可が出ないなら、授業に出ても試験は最下位を狙う』って脅してな」 「どうして、それが脅しになるんですか?」 美樹の質問に、陽向はまた数回頷いている。 「あいつの家は英才教育が半端ないから、すでに大学院くらいは卒業できるんだよ。それなのに、授業は真面目で最下位を取ったら、先生陣の教育指導問題になるからな」 「そう脅したんですか!? やっぱり最低だわ!」 「大学院を卒業できる頭なんてスゴいですね。でも、晃先輩は、梨本先輩より頭がいいんですよね?」 「いや、あいつの方がIQいいはずだ。きっと試験は、わざと間違えてるんだろうよ」 「本当に完璧人間だよね。少し分けて欲しいよ」 大輔の羨ましがる言葉に陽向たちは同意していたが、晃だけは寂しそうに笑っていた。
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