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手と口の拘束を解いてくれたけど、跨ったまま退いてくれない。
陽向は恥ずかしくて、自由になった手で顔を隠して横を向いた。
「な、な、何か着てください。それと退いてください」
「どうして? 陽向ちゃんが襲ってきたのに」
陽向の髪に、蓮は指を絡めてくる。
パンツ1枚の姿だけでも陽向には刺激が強すぎるのに、蓮の聞いたことのない甘い声は、陽向の体を熱くさせ頭を真っ白にさせた。
「襲ってません! 起こしに来ただけです!」
「耳赤いよ。可愛い」
陽向の髪を絡めていた蓮の指が、陽向の耳を触っている。
「やややめてください! 早く退いてくださいってば!」
無駄な抵抗と思いながら、足をバタつかせた。
妖艶に微笑んでいる蓮の顔が近づいてくる。
手で蓮の肩を押しているのに、蓮との距離は縮まるばかりだ。
寝ぼけているだろう蓮に首を舐められ、陽向は全身の毛穴が開いた気分になった。
「先輩! 離れて! お願い!」
首に顔を埋めている蓮の耳元で叫ぶが、蓮の温もりは離れるどころか陽向に甘い痛みを与えてくる。
「無理無理無理」と必死にバタつかせていた足が、蓮の急所にクリーンヒットした。
蓮は、陽向の横に倒れるように離れ、ベットにうずくまっている。
陽向は、無我夢中でドアの所まで急いだ。
転けそうになるほどの動揺を、どうにか落ち着けたい。
大きく深呼吸しようとして、胸元の涼しさに気づいた。
いつ間にかボタンが外れている。
神業すぎて狼狽えずにいられないが、今は兎にも角にも蓮と距離を空けなければならないと悟った。
「ちゃんと服着て、降りてきてくださいね!!」
叫ぶように言いながら、手早く服を直して部屋を後にした。
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