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ゆっくり深呼吸をしてから口を開く。
「それは……真白ちゃんにちゃんと気持ちを伝えようって思ったからだよ。俺……真白ちゃんが好きなんだ」
すると真白ちゃんは両手で口元を押さえて、泣き始めてしまった。
これは嬉しいのか⁈ 嫌なのか⁈ 慌てて彼女の肩を両手で掴む。
「ふ、不快にさせちゃってごめんね!」
「違います! 不快じゃなくて、嬉しいんです!」
「……えっ、嬉しい?」
聞き間違いだろうか。しかし真白ちゃんは再び俺に向かって笑いかけてくれた。
「どうして私が先輩の好みを知っているかわかりますか?」
「……俺、自分のことばかり話してた?」
「違います。私が先輩のことを知りたいって思ったからですよ」
「それって……」
「好きな人のことは何でも知りたくなっちゃうんです」
「えっ⁈ そ、それってもしかして……真白ちゃんも俺が好きって思っていいの?」
心臓が大きな音を立て、顔が熱くなる。
「先輩は鈍感だから、きっと私の気持ちなんて気付いてないだろうなって思ってたの。だから今日は告白して、フラれたら諦めるつもりだった。でも先輩がチョコレートを作ってくれていただなんて……」
真白ちゃんも同じことを考えていたなんて……俺たちはいつのまにか両思いになっていたのに、そのことに全く気付かず悩んでいたんだ。
「せっかく作ったのに、溶けちゃってごめんね」
「そうじゃないの。やっと気持ちが一つになれてすごく嬉しくて……だから……ありがとう」
「そ、そんな! お礼を言うのは俺の方だし。俺好みのブラウニーを作ってくれてありがとう」
「うふふ。私なしじゃ生きていけないって言ってたもんね」
そう言って可愛いく笑った姿を見て、頭に血が昇りそうになる。恋って本当に甘いんだな。血糖値が上がりそうだよ。
「真白ちゃん、ご飯食べた?」
「ううん、まだ」
「じゃあ、ご飯食べようか」
「うん、そうしよう」
立ち上がってから、頭の中で甘い妄想が俺に襲いかかる。真白ちゃんは今から俺の彼女になった。それなら--。
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