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俺は勇気を振り絞って、真白ちゃんに手を差し出す。すると彼女も顔を真っ赤にして、俺の手を握り返して来たんだ。
細くて柔らかくて……その感触だけでくすぐったくなる。
「ねぇ陽貴先輩。先輩のポケットの中って、チョコレートが溶けちゃうくらい温かいの?」
「どうかなぁ? 緊張してたから、いつもより温かかったのかもしれない」
「じゃあ……試してもいい?」
「試すって……!」
繋いでいた手が、そのまま俺のポケットに入り込んだ。その瞬間、体に電流が流れたかのような衝撃を受け、思わず飛び上がってしまう。
「あっ、本当に温かいねぇ」
「……真白ちゃんてば、刺激強すぎだよ〜!」
「だって……ずっと我慢してたんです。それに……恋人同士って、きっとこういうものですよ」
真白ちゃんはクスクス笑っている。俺の彼女は、どうやら思ったよりも積極的らしい。
想像していたのとはちょっと違う手の繋ぎ方だけど、これはこれですごくいい。
あぁ、甘くて胸が高鳴る。
トリュフチョコレートよりも、俺が見た夢よりもずっとずっと甘い未来が待っている--そんな気がして、ついニマニマ笑ってしまうんだ。
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