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「ヤダーーーー!!!!」
僕は思いっきり自称ちょちょうのほっぺにビンタを食らわせた。思いっきり目をつぶって。
…………いきなり静かになった。僕はそっと目を開けるとぽかんと口を開いた瑠璃お兄ちゃんと壁にめり込んだ自称ちょちょうの姿が目に入った。
「何が……あったの?」
「何って……翡翠のビンタであいつ吹っ飛んで壁にめり込んだんだよ……」
「僕の!? 僕、力全然ないのに?」
「ん〜。翡翠ちょっとパンチしてみ。思いっきりいいよ」
瑠璃お兄ちゃんは手のひらを開いてみせる。
「えい! えい!」
瑠璃お兄ちゃんの手のひらにパンチしてもぽすんぽすんと音も響かない。
「本当に僕がやったの?」
「多分、ピンチになったときだけ出せる力なんだろうな。やっぱり翡翠も親父と母さんの子供なんだよ。俺の弟だし」
瑠璃お兄ちゃんはそう言ってから僕をギュッと抱きしめた。
「本当良かった……。翡翠がへんたいの餌食になったら、そのへんたいを挽き肉にするとこだった……」
瑠璃お兄ちゃん、怖いこと言ってるよ。
僕もホッとする。
「帰るまで瑠璃お兄ちゃん、一緒にいてよ」
「そうだな。そうするよ」
手を繋いで次のフロアに行く。どこからかお父さんの叫びが聞こえてくる。
「水着の瑠璃のチョコレート彫刻最高ーーーー!!」
お父さん、本当瑠璃お兄ちゃんが好きだなぁ。僕も好きだけどさ。
三月に続くよーー!!
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