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「寝る前になって、今日のテストのこと思い出したの。おかげで、5時間くらいしか寝てない」  昼休み、中庭のテラスでお弁当を食べながら、向かいに座るサトルにぼやいた。カエデやイチョウの木が色づき始めるこの時期は過ごしやすく、周りのテーブル埋まって賑やかだった。 「思い出して、諦めてしまわないところが偉いね」  サトルは箸を止め、にっこりと微笑んだ。普段から細い目をした彼は、笑うと目がほとんどなくなってしまう。 「そうでしょ」  彼とわたしは恋人関係にある。1年生だった今年の3月、修了式の日にこの中庭に呼び出されて好意を伝えられた。同じクラスではあったものの、ほとんど話したことさえなく、「付き合ってほしい」ではなく「まずは友達になってほしい」という申し出だった。わたしは「いいよ、付き合おう」と返事をし、彼を驚かせた。
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