プロローグ

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プロローグ

「――じゃあな。――……華さん」 「――……うん……」  スーツケースを手に取ると、青葉さんは、そのまま背を向ける。  あたしは、うつむいたまま――彼を見送ることなく、涙を流す。  ――……こんな事になるなんて――思ってもみなかった。  ドアが閉まる。  瞬間、顔を上げる。  その後ろ姿は――もう見えず――。 「――……あお、ば……さん……」  震える声で、彼の名を呼ぶ事しか、できなかった。
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