洋子から見た二人

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加納は、洋子とのぞみを優しく見つめてから言った。 「こいつと結婚する人は、大変だと思いますよ。仕事をいっぱい抱えていて、夜遅いだけじゃない、仕事が詰まってきたら、何日も家に帰らない事もあるでしょう。 私としては、のめり込んだら廻りの事が見えないこいつを理解してくれる人と結婚して欲しいと思っているのですよ。その点、控えめで芯のしっかりした秋山さんなら、こいつを支えてくれるのではと思っています。 ぜひ、頭の隅の方にでもこいつの事を入れておいてやってくれませんか。一応、木野の上司としてのお願いです」 (頭の隅だなんて、木野さんの事は、大、大、大好き! 頭の中は何時も木野さんの事でいっぱいよ。でも駄目、絶対駄目) 「私は無理です。頭は悪いし理解する力もありません。私には木野さんと釣り合うものがひとつもありませんから…」 のぞみは、恥ずかしさと嬉しさで混乱しながら、木野に頭を下げて謝った。 「あの~、木野さん」 「はい?」 洋子の問いかけに木野は少し緊張して答えた。 「ほら、あの時、合コンに来てた岡西さんと言う人、どこにいるの?」 「岡西? 岡西って、あの倉庫で商品管理をしている奴の事?」 今度は、小西が聞いてきた。 「そうよ。あら、あの人、倉庫の人だったの? 同じ職場のような話だったけど……」 「岡西は、外部の人には、開発部にいるって言ってるみたいですよ」 小西はよっぽど、岡西の事が嫌なのか、蔑むような感じの言葉で言った。 「まあ」 「あいつは、金の出す所には絶対来ません」 小西は岡西の事が嫌いなのか、吐き捨てる様に言った。
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