待っていた摩耶

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待っていた摩耶

(良い結婚式だったなあ! 洋子ちゃんが羨ましい) そんな事を考えながら、ホテルからシャトルバスに乗って大阪駅で降りたのぞみは、大阪メトロの御堂筋線の標識を探していた。その時ポンと背中を叩かれ、ビックリして振り返ったら麻耶だった。 「どうだった。洋子の結婚式?」 「とても豪華で、びっくりしちゃったけど、凄く良かったよ! 洋子ちゃん達幸せそうで、羨ましいなって」 「そう……」 麻耶はのぞみが大事そうに持っているブーケに目を移して、虚ろに答えた。 (もし、木野さんの事聞かれたらどうしよう……) そう思うと、のぞみの体が硬直して、足が震えて来た。 (この前、麻耶は別れるなってん言ってたけど、そんな事信じられない。だってあんな素敵な人なんだもの、ちょっとした心の行き違いだけで別れられるはずないもの) 友達に隠し事なんて嫌だったけど、木野に親切にされた事を言う気にはなれなかった。会社の人が誰も来てなくて心細くなって帰ろうかと迷っていた時、木野が現れて神様の様に見えた事。その後は木野を追いかけて、ずっと一緒にいた事。それは麻耶に絶対、言えないと思った。
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