大阪南船場物語

新しい人が来た

「のんちゃんは、どうしてそんなに沢山、資格を取る気になったの」

「私が新人の時先輩から仕事を教わってたら、課長さんにこれからはパソコンの時代だから、その方面の資格をドンドン取って、経理課を変えていってほしいって言われたの、その頃は、まだ何もかも手書きだったから」

「大変だったでしょう」

「ううん。楽しかったわ。パソコンで仕事をすると、何もかも記録されるし、部署間との送信も早いし、良いとこだらけよ」

「じゃ、のんちゃんがパソコン事務の先駆けってことなのね」

「そんな事は無いけど、学校に行けば他の会社の人とも話が出来るし、いろんな仕事の仕方があるんだなあという事も知ったわ！」

「私も、長く働くつもりだから、資格取りに行っとこうかな」

「そうよ！　私もそれで資格を取ろうと思ったんだから」

のぞみは、前向きに生きている瞳を素晴らしいと思った。

「のんちゃんは、今で会社何年目？」

「4年ちょっとかな」

「4年かぁ～　私もがんばろう！」

瞳といると毎日が楽しくて、自分の世界がどんどん広がって行くように感じた。そして、麻耶達の事はいつの間にか遠い存在になっていったのだった。