木野さんがうちに来る?

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木野さんがうちに来る?

そんな付き合いが続いたある日の事、朝の通勤時間にいつも別れる交差点の所で、ばったり木野に会って、のぞみはびっくりした。 何故ならのぞみは朝二人で一緒に通勤すれば、IN電気の人の目に止まって変な噂が流れでもしたら悪いと思ったからだ。 木野の場合はというと、のぞみの思いとは逆に 「朝、駅で待ち合わせて一緒に行こう」 って、気さくに言ってくれる。その度にのぞみは幸せで嬉しい気持ちになるのだが、 (人の口に戸は立てられないもの) そう思って、引っ込み思案になってしまう。 「私は事務職でしょ。お掃除とかあって朝は7時過ぎに家を出ますけど、木野さんは?」 「8時頃かな? いつもぎりぎりだから」 と言って、面目無さそうに頭を掻くそんな木野の姿がのぞみは大好きだった。  木野のちょっとした優しい仕草や、頼りになる男らしい心遣いにのぞみの心は木野にどんどん惹かれていった。
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